小規模企業共済とは
小規模企業共済は個人事業者および中小企業等の役員向けの退職金共済制度です。従業員向けには中小企業退職金共済、いわゆる“中退共”がありますが、これには事業主は加入できないため、この「小規模企業共済」が用意されています。
■加入条件
常時使用する従業員(家族を除く)が20人以下の個人事業主と会社役員等です(ただし、卸売業、小売業およびサービス業では5人以下)。
また、加入後に従業員が増加し、この要件を満たさなくなっても、契約は継続できます。
■掛金
毎月の掛金は、1,000円から70,000円までの範囲で500円単位で自由に設定することができます。掛金は加入後に増減が可能ですが、減らす場合には①又は②の要件が必要となります。
① |
次のいずれかの理由により、掛金の納付を継続することが著しく困難であると認められるとき |
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1.事業経営の著しい悪化 |
2.疾病又は負傷 |
3.危急な費用の支出 |
② |
売上の減少、支出の増加等により、事業経営の著しい悪化が見込まれるとき |
■メリット
小規模共済のメリットは以下の2つです。
1つ目は、掛金を支払った時にその
掛金全額が所得控除できることです。
例えば、掛金月額を最大の7万円で加入した場合には、年間84万円の所得控除が受けられる計算になります。仮に、所得税と住民税を合わせた実効税率が30%であると仮定すると、8.4万円×30%=25万2千円税金が少なくなります。
2つ目は、共済金を受け取った場合に、次の条件を満たせば、退職所得として多額の
退職所得控除を受けられることであります。ちなみに、退職所得の計算は次のように行います。
→(退職金-退職所得控除額)×1/2
①
事業の廃止、会社役員等の疾病・負傷又は死亡による退職(共済金) → 一時払いを選択
②
会社等役員の任意退職、配偶者・子への事業譲渡等(準共済金) → 一時払いのみ
また、任意解約の場合の解約手当金は12ヶ月以上の支払いがあれば納付した掛金の80%以上の額を受け取ることができ、20年(240ヶ月)で100%の額を受け取ることができます。さらに、最高で120%(720ヶ月)まで受け取ることができます。
保険とは異なり支払いは最後まで国が保証するため、現状での税制上の優遇措置を考えると、加入するのが得策といえます。